長い間陸軍兵力の中心的位置を占め、密集と疎開の二戦闘方式を原則として敵兵力の撃滅・駆逐を図り、
最終的には目標地点の占拠を持って勝敗の決着を付ける事が最大の任務とされる。
陸軍の近代化が進められる過程で『軽・重機関銃』、『迫撃砲』、『対戦車砲』等の装備による
打撃力充実と装甲車両導入による機動力向上が求められた。

　軍隊とは主に陸海空の三軍で成るが、それを形成するのはあくまでも 歩兵＝人間 である。
優秀かつよく訓練された歩兵とは、そのまま洗練されたソフトウェアと言っていい。
Ｉ＝Ｄや船舶・航空機というハードウェアは建造するか輸入するかすれば良いが、
それを運用するソフトウェアは、汗と涙と血と、膨大な時間と資産を喰らって出来たモノである。
　優秀な歩兵とＩ＝Ｄ一騎を天秤にかけるならば、迷わず歩兵を選ぶのが人道的、
かつコスト的に見ても常道であろう。

　『機械は何度も造れるが、人は造れない』

　これは、ニューワールドであろうが、どの世界であろうが普遍的な真理である。

　ニューワールド全域の海運を担う羅幻王国の軍事的特色である海軍においては、
輸送や後方を支える人間が居なければ戦争は始まらない。

　羅幻王国の歩兵とは、地味ではあるが共和国が戦果を上げるための一番の基点であり、
その戦果をも持って国家を防衛する最大の戦力である。

　羅幻王国の各地から志願した彼らは新兵としての訓練を積んだ後、各部隊に配属される。
　まずは歓迎を受けた後、先輩や上官の命令から個人的感情まで含めた
多くに基づく理不尽からテント内掃除に及ぶ生活に入るのだ。
　将来の幹部候補生――つまりは士官学校を出た者についてもこれは同じであり、
多少差があるとすれば彼らは新任の小隊長等、下士官に比べて高い地位に着任する位である。
　この後、多くの訓練と試験を経て、彼らは昇格したり退役したりと様々な路を辿る事となる。

　部隊の仲間意識とも言える感情に基づいた普段の付き合いや体験共有等により深い結束を持ち、
部隊を家族のように認識して戦う者は多い。
その結果として統制力は高く、練兵を含めた部隊行動にもその影響は色濃く出ている。

　部隊員が昇進して部隊を離れたとしてもそれは変わらず、現場に居続ける彼らの意見を尊重し
作戦遂行の一助とする、いわば緩やかな現場主義を持った者が多い。
これもまた王国軍独自の文化と言っても差し支えないだろう。
現場尊重の方針維持の中、現場の優秀な人材が上部組織へと組み込まれ、
多くの新兵達の入隊も増えており、軍全体の活性化に繋がっている。

　これまでのニューワールドにおける戦いにおいて蓄積された戦術は円熟の時を迎えた。
ここではその一例を紹介するに留めよう。

・【地形・体術】射撃における地形利用として、敵の射撃に晒されず安定した射撃姿勢を作る為に
木立やビルの壁面・起伏のある場所・塹壕などに体を寄せて射撃姿勢を取り、
その状態を正確に維持出来る様にするなど、従来の砂漠地形では無かった
市街戦カウンターテロとしての側面を考慮されたＭＯＵＴ〜Military Operations in Urban Terrain〜対応訓練。

・【陣形】長距離/高速データ通信が可能な無線機を使用して連絡をとりあい、
部隊間での状況把握や連携をスムーズにし、オペレーターからの情報で敵のあらゆる情報を把握する。
敵陣形の弱い方向から攻撃するために、待ち伏せなどに最適な移動ルートの情報と
火力を展開するのに適切な配置を考慮・展開を行う。
偵察班・火力班・突撃班・狙撃班等それぞれの役割に応じて部隊を分割専門化し
、 半円状に展開しつつ相互支援体制を取るためのオペレータとの連携・陣形戦術の徹底。

・【装備】個人兵器としてピストル・サブマシンガン・アサルトライフル・マシンガン・手榴弾・対戦車兵器、
支援火器として迫撃砲や対戦車兵器・機関砲等を戦術用途に合わせた携行火力装備の開発。
スコープやダットサイト・小型無線機や小型ライト・ナイトビジョン・レーザー目標指示システム等による
用途に合わせた照準装置を装備して着弾を制御し命中率をあげる為の機器装備の確立。

　これらの共和国参謀本部の財産とも言える作戦ライブラリ・戦闘データは各兵への教本として
今後も世界の安全を守り、取り扱われる事となるだろう。